2017年京都・東京会議

去る7月に日米リーダーシップ・プログラムはお蔭さまで18年周年を迎え、410名の日米のリーダーから成るネットワークもさらに盛り上がりを見せ、かつてない多様なグループとなりつつあり、またコラボレーションの機会も増え続けています。プログラムの終盤、7月28日から30日に亘り東京で行われたリユニオンでは、記録的な数のフェロー(アラムナイ)がデリゲートに合流しました。今回集まった卓越したリーダー達によるディスカッションの充実度、リユニオンに集まった熱心なアラムナイ、年次を越えたメンバー同士の深い交流には、このプログラムが目指してきた日米のリーダー達の間に生涯にわたる友情の絆や、両国間の有識者の間の意義深い対話が体現されていました。

7月28日(金)にオープンで刺激的な意見交換の一日を終えたスコットM.ジョンソンフェローとデリゲートたち。

2017年会議は日米の多岐に亘る分野、例えば政府、宇宙探索、学界、教育、軍事/国防、ジャーナリズム、金融、バイオテック、LGBT活動、法律、ビジュアルアート、デザイシンキング、エンジニアリング、建築、音楽、ソーシャルインパクト、医療、企業等、日米の様々な分野からの42名のデリゲートが参加しました。一週間に亘る会議では、京都、広島、東京で日々のディスカッションや、レクリエーションを通じて日米のデリゲートがお互いを尊重し、心を開き、友情を育む機会が提供されました。

全体会議では、日米同盟、政治、外交、日本の成長戦略、北朝鮮の脅威、社会・経済格差の顕在化、仕事や生きがい、テクノロジーが生活にもたらす革新など日米共通の関心テーマについて専門分野のデリゲートが全体会議のディスカッションをリードしました。これらの全体会議で得た洞察や視点を掘り下げるべく、さらに小グループに分かれ、より親密なディスカッションを重ねました。

デリゲートは、トランプ政権の政策が導く先が“アメリカ ファースト”か、“孤立主義”になるのか、活発な議論を交わしました。(上左)さらに、キャリアの充実やチームワークの向上を図る方法についてのセッションに積極的に参加しました。

日々のディスカッションに加え、デリゲートは下鴨神社や、貴船、龍安寺、妙心寺を訪れ、また浴衣姿で夏祭りに参加するなど、日本の歴史的・文化的な伝統について理解を深めました。冒頭のアイスブレーカーを兼ねたチームビルディングの一環として、プロの和太鼓奏者を招き全員参加型のワークショップを行ないました。

(左)7月24日に全員参加型ワークショップで和太鼓演奏に挑戦。お互いに注意深く耳を傾ける。汗をかきながらの90分に及ぶ練習を通じて培ったチームワークの結果、活気ある伝統的な夏祭りのリズムを会場いっぱいに轟かせることが出来た。(右)その後、色とりどりの浴衣に着替え地域の夏祭りに参加。

(左)京都では龍安寺の石庭を訪れ、退蔵院の副住職の松山大耕さん(15,16)による説明を聞き、(右)また川上隆史さん(08,09)による春光院での座禅のセッションにも参加しました。

デリゲートはプログラムで2名の被爆者のお話を聞く機会を得ました。2016年5月27日にオバマ前大統領が広島を訪問した際に面会した歴史家 森重昭さんには、原爆で命を落とした米国人捕虜の状況や、その遺族の消息を生涯をかけて追う取り組みを中心に、近藤紘子さんにはB29パイロットとの出会いやその後の活動についてなど、それぞれの被爆体験や、ライフワークについて貴重なお話を頂きました。

(写真左)7月26日近藤紘子さん(右)と久保田智子さん(17,18 左)。広島出身のジャーナリストである久保田さんには、京都での近藤さんのセッションと広島での森さんのセッションの両方にてモデレーター役を務めて頂きました(写真右)7月27日、デリゲートは森さんの講演を聞いたあと、森さんご夫妻とともに原爆で命を落とした12名のアメリカ米軍捕虜の慰霊碑を訪れました。慰霊碑は中国憲兵隊司令部の跡地に設置されています。

2017年デリゲート達が森重昭さんと佳代子さんを囲み原爆ドームの前で。

広島で1日を過ごした後は東京に移動し、過去17年の各年次から総勢73名の日米フェローも加わり、デリゲートとフェロー合同のディスカッションや交流行事に参加しました。一週間のプログラムは総勢200名にも上る参加者を数え、かつてない大盛況のうちに終幕しました。日米のフェローが過去17年間に亘り醸成してきた友情の厚みと広がりを強く印象付ける会議となりました。

7月28日にはデリゲートとフェローは、フェローのエリック・レクレムさん(12,13)、日下部裕美子さん(11,12)とデリゲートのジョシュ・マーキューズさん(16,17)、ケリー・オコーナーさん(16,17)がデザイン・シンキングに基づいて考案したグループエクササイズに参加し、様々な質問に答えるプロセスを通じて日米の参加者が個人としてお互いの考え方や価値観の違いに気づき、さらに自身の考えを主張し、反対意見の相手を説得することを試みました。

7月28日の夕方のレセプションでは、ジャズ・ピアニストの中島さち子さん(15,16写真右、中央)が生演奏するシルエットをモチーフに、レックス・メストロヴィックさん(16,17 写真右 右手)によるオリジナルのビジュアルアート作品を即興で投影し、アートとジャズ演奏のコラボレーションを繰り広げ、集まった人々は感嘆の声をもらしました。この特別なステージのために光本亘佑さん(16,17 写真右 左手)とセゾンアートミュージアムにより3Dのキャンバスが用意されました。

会議の最終日7月29日はオールスター・キーノートパネルで幕を開けました。プログラムの中でも特に日米関係に造詣の深い専門家達により、日米関係にとって喫緊の課題について活発に議論が交わされました。パネリスト 左から 村田晃嗣さん(00)同志社大学、ジュリア・ネシェワットさん(13,14)アメリカ国務省、彦谷貴子さん(00)米コロンビア大、信田智人さん(00)国際大学、アンドリュー・ウィンデンさん(00,01)スタンフォード法科大学院、河野太郎さん(00)現外務大臣、ローラ・ウィンスロップさん(00,12)日米カウンシル、四方敬之さん(01,06)現中華人民共和国日本国大使館 首席公使

7月29日にはデリゲート、フェローに家族の方々も加わり東京の様々な見どころをチームごとに回り、撮った写真で一番面白いアドベンチャー・ストーリーを組み立てるコンテストに参加しました。

7月30日には、一部のUSJLPのメンバーに家族も加わり、会議終了後に富士山に登山し、ともに日の出を拝み、忘れ難い体験を共有しました。この会議後のエクスカージョンはクリス・カーさん(16,17)と五十棲浩二さん(16,17)のリーダーシップにより成功裏に実現しました。